高校生のSNSの利用率は年々増加しています。
総務省によって行われた「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の結果では、インターネット利用時間が年々増加しています。
また、10代・20代に限るとインターネット利用時間がテレビ視聴時間を上回り、特に10代のインターネット利用時間はテレビ視聴時間の2倍以上です。
そこで今回は高校生に人気のあるSNSを調査してみました。
海外と比較しての日本の高校生のSNS利用状況を見ていきましょう。
またそれに伴い様々な問題が生じているのも事実です。高校生がSNSを利用するにあたってのメリット・デメリットも解説していきます。
SNSの利用状況
全世代含めて8割以上の人が、なんらかのソーシャルメディアを利用していて、
なかでもLINE・YouTubeは利用者が多いです。
10~20代は、ほかの年代よりTwitter利用率が高く7割前後、Instagramも6割前後が利用しています。
インターネット利用時間のうち、10~20代はソーシャルメディアに費やす時間がほかの世代に比べ圧倒的に多く、特に女性でその傾向が顕著です。
詳しい調査結果は以下をご覧ください。
調査結果URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000644166.pdf
SNS利用時間
SNSの利用について総務省が発表しているデータをもとに解説をしていきます。
ネットの利用目的
ネットの利用目的について総務省がデータを発表しました。
スマートフォンの普及と共にSNSの利用率が著しく上がっていることが見て取れます。
主要SNSの利用率
下のデータも総務省が発表したものです。
日本においてもっとも利用率が高いLINE、Facebook、Twitter等の6つサービスのいずれかを利用している割合の推移を見てみましょう。
2012年の41.4%から、2016年には71.2%にまで上昇していることから、スマートフォンの普及がSNSの拡大に拍車をかけたのが伺えます。
世代別のSNS利用率
年代別のデータをみてみると若者の利用が高いことがわかります。いずれの世代も2012年に比べて急激にその数が伸びています。
高校生にあたる10代の間では2012年から2016年にかけて54%から81%まで利用率が増加しています。
その中でもツイッターの利用率が著しく高くなってきています。これは海外に比べても高い数字です。
高校生のSNS利用率ランキング
140文字までの短文を投稿できるSNS。画像や動画の投稿をすることもでき、2017年には月間利用者数が4,500万人を超えています。他国に比べても日本国内でのTwitterの人気は著しいものがあります。
国内では10代、20代の利用が特に多くなっており、芸能人や政治家、公的機関、メディアなど幅広いユーザーに利用されています。Twitterでは匿名性が高く、目的に応じたアカウントをいくつか作成していることも多いです。
高校生の間では日常や趣味に関する投稿をしたり、不満や愚痴など、より本音に近いことを吐き出したりするために使われていることが多いです。Twitterが浸透してきた当初はコミュにケーションツールとして利用している人が多く見受けられましたが、現在では興味のある分野の情報収集や、話を聞きたい人にコンタクトを取るために使っている人も増えてきています。勉強垢を作って同じ志望校を目指す人と繋がって情報交換を行い、場合によってはそこでコンタクトをとって実際に会うということもあります。ネット経由でリアルな場所でも会うということに抵抗が薄れてきている世代の象徴とも言えるでしょう。
画像や動画をメインとしたビジュアル重視のSNSです。高校生、大学生を中心に急激にシェアを伸ばしました。「インスタ映え」は流行語にもノミネートされました。皆さんも一度は聞いたことがあるでしょう。国内の月間アクティブユーザーは2000万人以上で、女性の利用者が男性を上回ることが特徴的です。著名なファッションモデルや「古着女子」などの企業アカウントが女性フォロワーをうまく獲得しています。「インスタ映え」という言葉に象徴されるようにいつもよりリッチで特別な体験など、非日常感を友人にシェアすることを目的としてアカウントを運用している人が多いです。
Instagramの中でも、2016年に搭載された機能「ストーリーズ」は、よく利用されています。ストーリーズは24時間で写真や動画が消えてしまう機能で、何気ない日常を気軽に投稿できるところが特別感のある本投稿と補完関係にあります。
LINE
無料で友達とチャットや通話がでできるアプリです。こちらは高校生のみならず10代から60代まで幅広く利用されています。メッセンジャーとしての機能が強く、メールに代わるものとして利用されています。アクティブユーザー数は月間7300万人以上と高水準を誇り、全世代を通して国内ナンバーワンのユーザー数を誇るSNSです。電話代がかからないことから携帯での電話ではなくLINEのアプリを通じて電話する高校生カップルも多いですね。最近では家計簿、スケジュール、スマート投資などあらゆる機能が追加されこのアプリ一つで多くのことができるようになってきています。LINEpayがキャッシュレス争いの中でどう戦っていくのかも注目を集めています。
TikTok
15秒の短い動画を編集して投稿する音楽動画コミュニティです。中国発のアプリで、2016年にサービスが開始されてから、高校生、大学生などの若年層を中心に爆発的な盛り上がりを見せています。日本でのユーザー数はまだまだ伸び代があると言えます。
YouTubeが自前で動画制作して投稿するのに比べ、動画の編集がアプリ内で簡単にできることがユーザー数を伸ばしている大きな原因と考えられます。「クリエイターになりたいけど編集が煩わしい」という人の心理的ハードルをうまく取り払っていますね。
お笑い芸人などの芸能人、さらにはyoutuberなどのインフルエンサーを積極的に広告塔にして認知度を高めるとともに、自社でインフルエンサーを育てるためのプロジェクトも開始。魅力的なコンテンツをユーザーに託すのではなく、それが生まれやすい環境を作り上げているのが特徴的と言えます。
スナップチャット
日本のチャットアプリでもっとも利用者が多いのはLINEですが、海外の若者に爆発的人気を誇っているのがスナップチャットです。日本でも一部の若者に支持されています。
他のチャットアプリと違うのが送信者側が設定した時間制限をすぎると写真が消されるということです。だから送信者側も黒歴史になりかねない写真を友人に気軽に送ることができます。今ではLINEにも送信取り消しの機能はついているので代替可能とも言えるでしょう。
フェイスブックやツイッターのようにいいねやリツイートの機能もないので、SNS疲れした若者を中心に広がったとの見方もできます。
interest(ピンタレスト)とは、自分の好きな写真や画像を自分専用のコルクボードにピン止めして、それをシェアできるサービスです。ボードは「好きな服」「行きたいところ」「景色」など、カテゴリー分けすることができます。
例えば、インターネットを閲覧している最中に好きな画像や動画をお思い通りにピン(ピンタレストのボードに集めること)する、友人や、著名人など、気に入った人やボードを共有することもできます。
LinkedIn(リンクトイン)は、2003年5月にサービスを開始した、世界最大級のビジネス特化型ソーシャル・ネットワーキング・サービスです。2015年7月現在の登録ユーザーは全世界で3億8000万人を超え、日本では100万人以上が会員登録をしています。ユーザーの属性は、若手社員から経営者が多く、ジャンルはIT・金融業界の方が多いです。
LinkedInの特徴は、
- プロフェッショナルネットワーク
- 相手ユーザーとの関係性は、同僚・上司・取引先
- ユーザーの利用目的は公的な自己紹介機能ツール、ビジネスでの交流
となっています。ざっくりまとめると、ビジネス特化型SNSという感じですね。
WhatsApp(ワッツアップ)とは、スマホ(AndroidやiPhone)向けのインスタントメッセンジャーアプリです。日本ではLINEが主流なので認知度はまだまだですね。
アメリカやヨーロッパでは主要のツールとして利用され、基本的な機能としてはラインとほぼ同じです。メッセージをやりとりしたり、音声通話、ボイストークなどを行ったりすることができます。これら機能については、各社似たり寄ったりですから、特別に説明する点はないでしょう。
WeChat(微信:読み方weixin、ウィーチャット)は、Tencent(騰訊)が2011年にリリースした、文字や音声、写真や動画、グループチャットなどでコミュニケーション通知など基本機能が出来る無料メッセージアプリで、Weiboなどと並び中国最大人気SNSの1つです。ユーザー数は中国国内約7億、世界で12億以上、月間アクティブユーザーは8.89億以上と、世界でも最大規模の人気アプリとなっています。中国人の日常メッセージはほとんどWeChatで行われており、スマートフォン・PCともに利用可能です。登録ユーザーは男女比が1.8:1、年齢層は18~25歳が約45%、26~35歳が約40%と2つの層で8割以上を占めています。
(公式サイトより引用)
カカオトーク
無料の電話やチャット機能を利用する特徴がある点ではLINEと共通する点が多いです。
カカオトークとは、簡単に友達に連絡を取ることができる特徴があるのです。もちろんLINE同様でスタンプを送ったりもできます。スタンプの種類や数もLINEとは異なっていて、カカオトークを利用するとその良さがわかると思います。
ただ最近ではユーザー数が減少しています。
高校生がSNSを利用するメリット・デメリット
メリット
情報収集
MDD研究所が行なった調査によると高校生がTwitterを使う理由としてもっとも割合が高かったのが情報収集ということでした。マスメディアから新しい情報を享受するのではなく、自分が欲しい情報を発信しているアカウントをフォローし、そこから情報にアクセスするというのが主流になってきているようです。
さらにTwitter等のSNSの優れている点として情報が素早く見れるという点があげられます。
災害の際にはテレビや新聞、web上よりも最新の情報にアクセスすることができるのがSNSの強みですね。また、スポーツの中継を見ながらSNS上で意見を交わすなどリアルタイムならではの魅力があります。
趣味を通じて交友関係拡大
自分の趣味を発信することによって、思いもよらない関係を築ける場合があります。
たとえばジャニーズが好きな人が、Twitterで「ジャニーズ」や「ジャニーズ 好き」などのワードを検索エンジンに入れてみると多くのユーザーが自分の趣味についてつぶやいているのがわかります。そこからリプライやDMを飛ばしたりしてネット上でつながりを持つこともあります。
現代の高校生はネット上の関係とリアルな関係を分けて考えており、ネットで人と繋がることが危険という発想が薄れてきています。
デメリット
いじめ
SNSを使ったイジメは中高生の利用率が高いLINE・Twitterで多く見られます。
特にLINEのグループチャットにおいて、特定の人物に対して多数が暴言を浴びせ集中的に攻撃するリンチや、対象のメンバー以外が一斉にグループを抜けて孤立させるといった手段が確認されています。リアルな世界ではないだけに言葉がより攻撃的になるという事例も多くあります。また、気付かぬうちに加害者に回っているというケースもあるので要注意です。ネット越しでのコミュニケーションでは相手への想像力が欠けてしまいがちです。
個人情報の漏洩
SNSに何気なく投稿した写真から住所、学校を特定されてストーカまがいの被害を受けるという事例も増えてきました。大人と違い、まだ自分の身を守れない年齢でこのような事態に陥る可能性があります。SNSでは安易な個人情報の公開により、本来知られたくない情報を不特定多数の人に知られてしまうという危険性があります。
フィッシング詐欺似合う危険性
現在インターネット上には「フィッシング詐欺」という違法行為が広がっています。
フィッシング詐欺は偽のSNSのログイン画面をネット上に作成して、利用者のIDとパスワードを盗み取る行為です。
ここで誤ってIDとパスワードを盗まれてしまうとアカウントを乗っ取られてしまう可能性があります。よくタイムラインにスパムのようなツイートが流れてくるのを目にしたことがあると思います。これがフィッィング詐欺による被害で最悪の場合は金銭トラブルに巻き込まれることになります。
まだまだリテラシーが付いていない高校生にSNSを利用させることには議論がつきまといますが、今後、利用率はまだまだ上がることが予想されるのでSNSに関した教育が早急に必要になってくるでしょう。
ストレスが溜まりやすい
チャットアプリと違い、SNSでは一度フォローした友人の投稿がとどめなく流れてきます。
「SNS疲れ」という言葉もあるほど現代人はSNSによって悪影響を受けている部分もあります。タイムライン上で他人との比較をされるため、次第に目を背けたくなる若者も増えています。「自己承認欲求」という言葉がよく使われるようになったのはSNSが出現して以降になるります。
海外のSNS利用率
SNSは国によって利用率の差が激しいです。日本ではツイッターのユーザーが4500万人で1位。もっともユーザー数が多いSNSとされています。
しかし、世界的に見てみるとFacebookのユーザー数が23.2億人と2位のYouTubeと大きな差をつけて1位になっています。
ここでは日本では利用率がそこまで高くないが海外では人気の出ているSNSを紹介していきます。
SNSの海外利用率
(出典)総務省「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(平成28年)及びみずほ情報総研提供資料(インド及びオーストラリアの調査結果)/ StatCounter より編集
数字抜粋。※比較表:検索エンジン以外は加重平均
米国:Facebook:77%,Youtube:53%,Twitter:39%,instagram:34% / Whatsapp:22%,LINE:8% / Google:87%
イギリス:Facebook:69%,Youtube:48%,Twitter:33%,Google plus:19% / Whatsapp:30% / Google:89%
ドイツ:Facebook:64%,Youtube:47%,Google plus:18%,Twitter:12% / Whatsapp:56% / Google:91%
韓国:Facebook:69%,Youtube:58%,Twitter:33%,instagram:29% / Kakaotalk:75%,LINE:20% / Google:64%,NAVER:28%
中国:Facebook:16%,Google plus:14%,Youtube:12%,Twitter:9% / WeChat:88%,Weibo:54% / Baidu:81%,Haosou:9%
インド:Facebook:92%,Youtube:78%,Google plus:62%,Twitter:50%,Linkedin:46% / Whatsapp:81%,WeChat:22% / Google:94%
オーストラリア:Facebook:75%,Youtube:50%,Google plus:25%,instagram:22% / Whatsapp:18% / Google:94%
日本:Youtube:39%,Facebook:35%,Twitter:28%,instagram:10% / LINE:44% / Google:66%,Yahoo:29%
(小数点第1位以下は四捨五入。)
以上のことから次の点が言えます。
1. 日本に比べて世界のFacebookの利用率が高い
日本ではビジネスパーソンをはじめとする中年の男性が使うイメージのあるFacebookですが海外では学生もFacebookのメッセンジャーでやり取りをしています。海外に留学に行った学生がまず最初に感じるのがFacebookは必須であるということです。最近ではInstagramで連絡先を交換する学生が増えています。
2.Linkedinの活用率が高い
inkedIn(リンクトイン)とはビジネス用のSNS。求職者の転職、企業の採用やビジネス上でのネットワーキングの作りのために使われているサービスです。日本では2%の利用にとどまっています。Linkedin経由で直接転職したい企業の人事の方と繋がるということも多くあります。日本では転職エージェントがLinkedinの代替効果を持っていると言えるでしょう。
3.チャットアプリは国ごとに異なる
日本では高齢者もほとんどの割合でLINEを利用しており、日常生活になくてはならないものになっています。韓国ではカカオトーク、中国ではWeChat、その他の多くの国ではWhatsappが使われています。Whatsappとは特にヨーロッパではかなりの方が利用されているメッセンジャーアプリです。
4.検索エンジンは基本的にGoogle
全世界を通してもやはりGoogleの検索エンジンが主流になっています。次に利用率が高いのがMicrosoft Bingです。Microsoft Bingは、Microsoftが提供する検索エンジンです。
5.中国ではバイドゥが躍進
中国国内ではライバル不在の状態であり、人気の理由は中国人のニーズに合った検索表示、加えてMP3(音楽ファイル)検索や、画像検索に優れている点にあるとされています。
人気の要因にある検索エンジンでMP3検索を行うとネット上に存在する楽曲をダウンロードすることができます。
まとめ
今の高校生はデジタルネイティブと入れるほどに感覚的にSNSを使いこなしており、用途によって複数のツールを使いこなすことが当然となっています。
今の若者が何を考え、何を叶えたくてSNSを利用しているのかを正確に理解することが次の世代の覇権を握ることになるでしょう。
SNSとはただ単に利便性の面で人を満たすだけでなく、人のより根源的な欲求を解消するためのものでもあります。
Twitter、Facebook、Instagramを中心にSNSが普及しましたが毎年のように新しいSNSが出現しています。今後も目が離せんませんね。